男性の避妊意識は低い?現状や必要な理由・正しい避妊方法を解説

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パートナーと性行為をするとき、避妊を意識していますか?妊娠を望まないパートナーとの性行為で避妊を怠ると、パートナーを傷つけます。また間違った避妊方法では妊娠させるリスクがあります。本記事では、男性の避妊意識について、現状や正しい避妊方法を解説していきます。

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男性の避妊意識の現状

当たり前のように思える避妊ですが、実際男性はどのような避妊に対する意識を持っているのでしょうか?実は必ず避妊をしている男性の割合は少ないのが現状です。男性の避妊意識の現状を理解していきましょう。

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コンドームを毎回つける男性は51.7%

国際協力NGOジョイセフでは、「性と恋愛2019-日本の若者のSRHR意識調査-」を実施しました。18歳から29歳の日本の若者1000人を対象にした調査で、セックスや避妊についていくつかの質問をしています。

「コンドームを毎回つけている?」という質問に対して、性交渉のときにコンドームを毎回つける男性は全体の51.7%という結果が出ました。「コンドームをつけずにしたことある?」という質問には、妊娠が目的でなくコンドームをつけずに性交渉したことある男性が51.4%となっています。

MEMO
妊娠を望まない場合は避妊が前提ですが、それでもコンドームをつけていない男性が半数以上いるので、日本の男性の避妊意識は低いと言えるでしょう。

「コンドームを用意するのは常識だと思う」が55.1%

コンドームを用意することに対する考え方を見てみると、「常識だと思う」が55.1%、「普通だと思う」が71.6%という結果になりました。「常識だと思う」が「普通だと思う」を下回り、用意する男性が多いものの、常識として定着しているわけではありません。

MEMO
女性が避妊のためにコンドームを用意することに対しては、「引いてしまう」が5人中1人、「引かないが驚く」が47.1%と、女性の避妊意識への理解が少ないと言えるでしょう。

5人に1人が頼まれなければつけない

「コンドームを頼まれなければつけない」という男性が5人中1人というデータもあります。「コンドームをつけなかった理由は?」という質問に対して、「快感が損なわれるから」が20.6%、「つけなくて性交渉しても大丈夫だと思った」が17.9%、「用意がなかった」が17.5%となっています。

女性の10人に1人が「つけてと言ったのに、つけてくれなかった」と回答しており、男性には、快感を優先したり、避妊に対する理解が甘かったりするなど、女性目線で考えていない傾向があります

男性に避妊意識が必要な理由

国際協力NGOジョイセフの調査でわかるように、日本の男性の避妊意識は決して高くないと言えるでしょう。避妊について考えるためには、避妊がなぜ必要なのか理解する必要があります。男性に避妊意識が必要な理由を改めて確認しましょう。

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子どもを育てるためにはお金が必要

パートナーが妊娠・出産して終わりではなく、そこから子育てが始まります。子育ては愛情も大切ですが、どうしてもお金が必要です。

文部科学省が発表した「平成30年度子供の学習費調査の結果について」では、幼稚園3歳から高等学校3学年までの学習費総額のデータが発表されています。

すべて公立に通ったとしても、541万円が必要です。また、日本政策金融公庫の「平成 30 年度教育費負担の実態調査結果」では、大学の在学費用が公表されています。

大学平均で148万円の在学費用がかかるので、大学まで卒業したとすると子育てに約700万円かかることがわかります。

子育てにかかるお金は教育費以外にも多くあるので、もし経済力がないまま、パートナーが妊娠・出産したとすると、カップル本人はもちろん、子どもに不自由させるかもしれません。

MEMO
子育てできる経済力があるかを考慮した上で、計画的な妊娠が必要になります。

心の準備が欠かせない

子どもを妊娠し出産することには、親としての心の準備が必要でしょう。子どもを産むパートナーは、母親になる覚悟や出産に望む心構えなどが、父親になる男性には父親としてパートナーと子どもを守る覚悟など、精神的な準備が欠かせません。

準備ができないまま、子どもが生まれれば、パートナーと協力できなかったり、十分な愛情を注げなかったりするおそれがあるでしょう。

MEMO
お互いに心の準備ができるまでは避妊するのが最適な選択です。

社会的に認められる必要がある

妊娠・出産は、パートナーと男性だけの事柄ではありません。互いの両親や周囲の人の理解が必要で、社会的に認められる必要があります。自分たちで何とかすると考えていても、子育てなどで壁にぶつかったとき、助けてもらえる人がいないかもしれません。

周囲の人に認められて妊娠・出産をすれば、壁にぶつかったときに手を差し伸べてくれるでしょう

MEMO
結婚、妊娠と段階を踏み信用を損なわないためにも、避妊は大切なことです。

望まない妊娠で傷つくのはパートナー

妊娠をして身体に変化が現れるのは、パートナーだけです。出産を選びお腹が大きくなっていけば働くことは難しくなり、身体に負担がかかります。中絶を選べば、罪悪感から精神状態が崩れてしまうかもしれません。

男性も不安に駆られますが、身体的にも精神的にも傷つくのはパートナーです。

MEMO
パートナーの負担や気持ちを考えて、しっかり避妊する必要があります。

男性主体の避妊方法

男性の避妊意識や避妊が必要な理由を理解したところで、具体的な避妊方法についてご紹介します。それぞれの方法だけでなく、成功率もご紹介するのでしっかり理解しましょう。

・参考サイト:避妊のススメ

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コンドーム

コンドームは、コンビニでも手軽に入手できる避妊具で、一般的な避妊方法です。男性の性器にコンドームを被せることで、膣内に精子が出るのを防ぎ、性感染症の予防にもつながります。

注意
しっかり装着されていなかったり、破損していたりすると、避妊に失敗するリスクがあります。正しく使えば失敗率は2%と言われているものの、一般的な使用では18%の失敗率であり、確実に避妊できるとは限りません。

膣外射精は失敗率が高い

膣外射精とは、コンドームをつけずに性行為をし、射精する前に性器を抜き、膣外に射精する避妊方法です。精子は膣外に放出されるものの、射精前に出てくるカウパー液に精子が含まれている可能性があり、失敗率は6~21%と高いのでおすすめの避妊方法とは言えません。

パイプカット手術

パイプカット手術は、精管を結ぶまたは切断するかして、精子を遮断する避妊方法です。そもそも精子が放出されなくなるので、ほぼ確実に避妊できます

注意
ただし、一度手術をすると、簡単に生殖機能を取り戻すことはできません。十分に検討して手術を受けるか決める必要があります。

男性用ピルが開発されている?

女性の避妊方法として、ピルを服薬する方法がありますが、男性用ピルの開発も進んでいます。内因性テストストロンという性腺刺激ホルモンを抑制することによって、妊娠を防ぐものです。今はまだ実現していませんが、注入型や貼り薬型などが登場するとも言われ、コンドーム以外にも男性主体の避妊方法が定着するかもしれません。

女性主体の避妊方法も知っておこう

男性主体の避妊方法だけでなく、女性主体の避妊方法を理解しておくことも大切です。主な女性主体の避妊方法を5つご紹介します。

・参考サイト:避妊のススメ

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ピルの服用

ピルとは、女性ホルモンを含む薬品で、婦人科で処方してもらえます。服薬することで高い確率で避妊できるだけでなく、生理痛の軽減や規則的な月経などのメリットがあります。

IUD(子宮内避妊具)を挿入する

IUDは、子宮の中に挿入する器具で、精子が入らないようにする避妊方法です。ピルは毎日服薬する必要がありますが、IUDは一度婦人科で装着すれば2~5年間避妊できます。

注意
ただ、除去する際にも婦人科での処置が必要なので、手間がかかります。

IUS(子宮内避妊システム)処置する

IUSもIUD同様に、子宮内に挿入する器具です。黄体ホルモンを放出することで妊娠の確率を下げ、ほぼ確実に避妊を実現します。生理痛をやわらげるメリットもある女性主体の避妊方法です。

基礎体温法で管理する

基礎体温法は、基礎体温の測定で排卵期を把握し、妊娠を避ける避妊方法です。ピルやIUD、IUSのように副作用はありませんが、体調不良などで基礎体温が乱れると、排卵期を見つけにくくなり、妊娠のリスクが高まるおそれがあります

注意
正しく管理すれば失敗率は0.4~0.5%ですが、管理を誤ると24%に上がるので、正しい管理が求められます。

アフターピルで対処する

アフターピルは、避妊を失敗したときに72時間以内に服用、その12時間後に2回服用し、妊娠を防ぐ方法です。万が一の避妊方法であり、はじめからアフターピルを使うことを考えてはいけません。

MEMO
まずは他の避妊方法を行い、緊急用にアフターピルがあると理解しましょう。

パートナーを思い遣るには男性の避妊意識が欠かせない

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いくつかの調査を参考にすると、男性の避妊意識は高いとは言えません。望まない妊娠はパートナーが傷つけるものであり、経済面や精神面、社会的信用などを考慮して、避妊を行い計画的に妊娠・出産するのが望ましいです。

男性主体の避妊方法はコンドームが一般的ですが、必ず成功するとは限りません。女性主体の避妊方法も理解し、お互いに避妊を意識することが大切です。パートナーを思い遣り、男性は改めて避妊について考えてみましょう。